『ミリタリーグルメ 戦闘糧食の三ツ星をさがせ!』 大久保義信

光人社 2001/7/9 流し読み A5 ソフトカバー A 2300 *****図書館 03/7/10

各軍隊のレーション(戦闘糧食)食べ歩きフォトエッセイ。目の付け所だけでA評価を与えていいのではなかろうか。巻頭のカラー写真は意外にうまそうに見える。自衛隊は赤飯、ドイツはソーセージ、イタリアはパスタ、とちゃんとお国柄が出ているのが楽しい。やはり戦闘時であるから、同じものを連食するような事になりがちであり、となると普段食ってるものが出てくるというのは当然なのかもしれない。

著者は推察する。「美味しい保存料食を作るのは難しくない。安価、携行性、簡単な調理といった条件が加わるから難しい。味を追求すれば大型で高価になったり、携行性を良くすれば味や調理性に劣ったりする。そこで優先順位を決めて、下位のものを切り捨てて行かざるを得ない。その選択部分に国の食文化や思想が現れる」 やはり軍隊というものは究極の合理性が必要とされる場所だけに、食料に関してもその合理性が発揮されるわけだ。高速、重装甲、重火砲の戦艦が出来ないように、食料にも切り捨てる部分が出てくる。アメリカのレーションは携行性、調理性を重視して味を犠牲にしている。フランスやイタリアは携行性などを犠牲にしても味を重視する。多国籍軍派遣地域では、アメリカレーション1個とフランスレーション3個の交換レートだったという(ただし一日分と一食分の違いもある)。

コラムも楽しい。もっとコラムが多くてもいいくらいだと思う。以下、コラムから得た雑学知識をメモ。

●ビスケットとクッキーの違い
ビスケットはラテン語のビスコトゥム・パネム(二度焼いたパン)から来ていて、でんぷん保存食。クッキーはオランダ語のクォキェ(小さな菓子)から来ていて保存性乾燥菓子。日本の法律では、ビスケットは「小麦粉、糖類、油脂を原料として焼いたもの」。クッキーは「手作り風の外観で糖、脂肪分の合計が40%以上のもの」。クラッカーはイーストが入っている。

●三八式歩兵銃について
海外ではメーカーの名前から、アリオカ・ライフルと呼ばれることが多い。日本軍装備の貧弱・旧式さの象徴として語られることが多いが、ドイツやイギリスもそう変わらない銃を装備していた。三八式歩兵銃の長銃身は、弾道低伸性の追求、長銃剣は反動を押さえるマズル・ウェイトであり、本来は銃剣突撃の銃ではなかった。むしろサブマシンガンなど他の火器体系がでてこなかったことが問題。

●スイカ
アメリカ人もスイカに塩をかける。スウェーデン、フィンランド将校には理解できないらしい。

以上読み応えアリ。そうかあ、三八式も本当は槍じゃなかったんだね。使い方が良くなかった、というかそういう使い方でしか運用し得なかったと。日本の国会は機関銃を持っていくのかとか発砲していいのかと馬鹿な話をしているが、炊き出し部隊でも送るつもりなのだろうか。それはそれで役には立つのかもしれぬ。あとアメリカ人がスイカに塩をかけるというのは、彼らは甘味に関してはまともな感覚をもっているのかもしれない。本には書いていなかったけれど、欧米人は兵隊も禁煙してるのだろうか?兵舎禁煙、なのだろうか。

戻る ジャンル別分類へ戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送