『禁煙バイブル 読めば必ずやめられる』 ニール・ケーシー 新井崇嗣訳

双葉社 2005/11 精読 B5 ソフトカバー B \1000 E図書館 2005/12/7

 

禁煙バイブルというのは実に言い得て妙だ。結構非論理的なことも交えて書いてあるから、ちょっと信仰の問題も絡んでくるw。

著者は、煙草がやめられない原因は、潜在意識が煙草(ニコチン)が、緊張を解きほぐしてくれると勘違いしているからだと主張する。しかしそれは喫煙者全体の大いなる誤解で、実は煙草は身体を緊張させる!その緊張は煙草を吸い終わって数時間後に現れる!その緊張(直前の煙草によって時間差攻撃でもたらされた緊張)をほぐすために煙草を吸うと、身体の緊張は煙草を吸った直後のレベルに戻る、しかし、一時間〜数時間後、結局ニコチンは遅れて体に作用して、緊張をもたらす、すると煙草が欲しくなる。禁断症状というのはつまりこれだ、と著者は大した根拠もなく言ってのける。煙草を吸わないでいるから禁断症状が辛いのではなく、直前に吸った煙草のせいで、「煙草が吸いたくて堪らない」という症状に悩まされるのだ、というのだ。そして、それを治療するための手段が、潜在意識に煙草は有害だと、煙草のせいで身体が緊張しているのだと教えること、なのである。この辺がちと胡散臭い。胡散臭いが、信じて私はやってみた。本にはその潜在意識の誤解を解き放つための方法が書いてある。が、あまりに簡単すぎて簡単にここに書けてしまうので、かえって書きづらい。それをここに書くのは物書きの仁義に反するだろう。

本書の勧める禁煙プロセスを私は試してみた。この方法の優れたところは、煙草を吸いたくなったら遠慮なく吸っていいというところである。著者は、我慢しようとするから辛い、禁煙に意志の力など必要ない、と言ってのける。これは大変励みになる。やることは、煙草を吸う前にあるプロセス(これを知りたい人は本書を読んでください)を踏むこと、である。禁煙の本なのに煙草の吸い方が書いてあるのである。そして、潜在意識が煙草を欲しなくなるまで吸い続けろと言う。これを毎回実行すれば、必ずやめられると書いてある。とりあえず信じてやるのが正解だろう。私はやった。

結果、本書の結末とはちょっと違うが、確かに煙草はやめられた。本書の方法のみそは、「煙草を吸っている自分」「煙草を吸ったことによる身体への影響」を鋭敏に感じ取らせることにあるのだと思う。大抵の喫煙者はこのことに鈍感になってしまっている。私も、煙草を吸って息が荒くなるとか、鼓動が早くなるとか、くらくらするとか、毒が身体に回っているとか、久しぶりに、もしかすると始めて感じたように思える。そんな当たり前以前の、肉体の正常な反応に鈍感になっているから、煙草はやめられない。本書の方法は、そういう風に書いてはいないけれども、肉体の声に耳を傾けよ、と言うことだと思う。ただし、潜在意識に訴えるという方法はどうも私にはいまいちであった。最後の一箱を吸い終わって、若干の努力と我慢を加味して、私はやめた。それでも本書が大きな示唆を与えてくれたのは言うまでもない。この本がなかったら、もっと大きな苦痛と困難の中で禁煙を実行しなければならなかったろう。

潜在意識への訴えという本書のメインテーマの真偽には、私は少々懐疑的である。しかしこの本の優れたところは、喫煙者の言い分のおかしなところをきちんと解説しているのには好感が持てる。
・喫煙は集中力を高める→なんで煙草の火の不始末の火事が多いんですか?
・喫煙者は煙草を吸っている時ではなくて吸っていない時に「喫煙は楽しい」と言う。
・ 煙草はストレス解消→煙草は煙草によって生じた緊張を緩和するだけの効果しかない
etc...嘘か本当かはともかく筋は通っているし事実を正しく指摘していると思う。

「煙草をやめなければならない」ではなくて、「煙草をやめたい」と思って本書を開けば、やめられる可能性はかなり広がると思う。自分が間違ったことをしていると認める勇気があれば、やめられる、と私は考えるが、こう考えられるのは、私が今吸っていないからであるところが難しい。まあ人生を変えられるかもしれない一冊に1000円は安い。これが通じる人なら、カウンセリングもニコレット(高いんだってね)も必要ない。

 

禁煙バイブル
禁煙バイブル
posted with 簡単リンクくん at 2005.12.15
ニール・ケーシー著 / 新井 崇嗣訳
双葉社 (2005.11)
通常24時間以内に発送します。

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